両替・送金の方法
近年、クレジットカードや国際キャッシュカードの普及により留学費用の両替や支払いの方法が多様化しています。
注意しなければいけないのは、両替の場所や送金方法によって為替レートがことなることです。一般的に、USドルやユーロ、円などのメジャー通貨はローカル通貨の国で換金したほうが有利です。日本円と人民元の関係も同じで、日本で両替するよりも中国で日本円を人民元に両替するほうが有利です。
ただ、異国への一人旅で多額の現金を持ち歩く危険性を考えれば、渡航後の留学手続きに必要なお金以外は最少にしておくべきです。
安全面では、現地で口座開設後に日本から送金するのが一番です。
銀行間送金の日数を考慮に入れた渡航時期にすれば、入学費用の支払日に間に合います。 送金に要する日数は3日~7日ほどかかります。送金自体は時間を要しないのですが、口座に送金されたUSドルが人民元に両替されるのに時間がかかるようです。
クレジットカード利用する場合は、買い物とキャッシング金額に限度額がありますので、携帯したキャッシュが不足したり日本からの銀行送金をまっている間の 非常用の資金と考えておいた方がいいようです。
両替の手数料は時で変動する
日本円から人民元への両替において、為替レートに加算される手数料は何%でしょうか。 実は、人民元にかぎらず外貨への両替の手数料率というのは一定ではありません。 日本円を外貨に両替する手数料は率ではなく、通貨ごとにスプレッドとという一定の幅が決められているからです。
例えば、USドルは銀行の窓口における通常のスプレッドは1円です。 為替レート(仲値)が100円/USDだとすると、日本円をUSドルに両替する場合は1USドル=101円になります。 USドルを日本円に両替する場合は1USドル=99円になります。 1ドル=120円のときも1ドル=74円でもスプレッドは基本的に一円です。つまり分母が常に変動していますから率は一定になりません。
しかし、これはあくまで通常のスプレッドです。通常でない時とは、一日に1ドル=120円から1ドル=115円にドルが急落するなど為替の変動幅が大きいときです。 日本の銀行では、当日の為替レートとスプレッドは午前9時に決まりますが、為替の変動幅が大きい日には午後にもレートとスプレッドが変更されます。 こういった場合にはスプレッドが3円以上することもあります。
両替のレートと手数料は場所でも変動する
次に、円を人民元に両替する場所でもその率は違ってきます。 百万円が人民元でいくらになるのか、両替の場所別に調べてみました。
ただ、この調査結果には私自身、驚いています。 常識では、中国の銀行で両替する方が有利なはずですが、今回の結果は日本国内の銀行で両替した方が有利になっています。 調査時期(2014年11月13日)が日銀の大規模な金融緩和の発表によって円安に急激に変動していることで、中国側のレートが極端に悪く(先を見越したレート)なっていることが原因と思われます。 中国の銀行も損をしたくないですからね。先ほど述べた「両替のレートと手数料は常に変動する」の実例ですね。
平時においては、中国の銀行での両替が日本の銀行での両替よりも得になります。(為替の変動幅がちいさくなってから通常の両替事情を再度調査してみたいと思います。) その辺の事情を念頭において以下の調査を見てください。
- 日本の銀行の窓口で日本円を人民元に両替(三井住友銀行)(100万円=52,192RMB)
- 日本の銀行から中国で開設した銀行口座に送金(100万円=52,031RMB)
- クレジットカードでキャッシング(100万円=51,420RMB)
- クレジットカード(VISA)で買い物(100万円=51,355RMB)
- 中国の銀行の窓口で日本円を人民元に両替(100万円=51,204RMB)
- 日本国内のチケットショップで日本円を人民元に両替する。(100万円=50,252RMB)
- 国際キャッシュカードで海外のATMで引き出す(100万円=50,176円)
- 三井住友銀行 外貨宅配(100万円=48,403RMB)
- トラベラーズチェック(終了している)
両替のケース別レート
※調査時期:2014/11/13
三井住友銀行 窓口
インターネットの為替レートにスプレッドをのそせた金額が銀行窓口で日本円の現金を両替するレートになります。 平時はどこの銀行でもほとんど同じ為替レートですが、為替が乱高下している日には銀行によって差が出てきます。
三井住友銀行 窓口の為替レート
銀行の店頭で外貨預金や両替する場合の人民元為替相場
※調査時期:2014/11/13
円⇒人民元(人民元=19.16円)
人民元⇒円(人民元=18.56円)
100万円=52,192RMB ※RMBとは人民元のこと。
日本の銀行から中国で開設した銀行口座に送金
この場合も三井住友銀行から中国の銀行口座に送金しました。 日本の銀行では、人民元で送金できないため円をUSドルに両替して送金されます。 中国の銀行では送金されたUSドルを人民元に換金して口座に入金されます。 つまり、日本の銀行から中国の銀行口座に入金されるまで日本円⇒USドル⇒人民元と2回両替されることになります。 日本の銀行から中国の銀行口座への送金ルートは以下のようになります。
日本の銀行で日本円をアメリカドルに換金して送金⇒中国にある外資系仲介銀行⇒中国の銀行⇒中国の銀行でアメリカドルを人民元に換金
- 口座のお金をアメリカドルに両替するレートは、銀行窓口で現金への両替レートと同じです。
- 日本の銀行で送金手数料が4000円、仲介銀行の送金手数料が2500円かかります。
- 中国の銀行に送金されたアメリカドルは銀行間送金のレートで人民元に両替されて口座に入金されます。
- TTB
- 銀行間送金で外貨を買い取るレート。送金した日本円やUSドルが人民元に両替される際の為替レートです。
- TTS
- 銀行間送金で人民元を外貨に両替する際のレートです。ただし、帰国の際に口座の人民元を日本円に両替して持ち帰る場合は「CS」になります。
送金額 | 100万円 | レートと手数料 |
送金手数料の控除後 | 993,500円 | ¥6500円(海外送金手数料:4,000円、仲介銀行手数料:2,500円) |
USドルに両替 | 8513.28USドル | 三井住友銀行 窓口レート(1USドル=116.7円) |
人民元に両替 | 52031.46RMB | 銀行間送金の両替レート(1USドル=6.1118RMB) |
100万円=52,031RMB
クレジットカードでのキャッシング
クレジットカードのキャッシングで注意する点は限度額とスキミングの問題です。 限度額が30万円の場合は、キャッシングで20万円を借りると、買い物は10万円しかできなくなります。
クレジットカードを利用した海外でのキャッシングでは、クレジットカードで買い物をした場合に発生する事務手数料がかかりません。 その代わりに年率18%の利子がかかります。一か月で返済した場合で1.5%の利子となります。 ここでは一か月間借入したケースで算出します。 為替レートはVISAインターナショナルが定めたレートに為替手数料1.63%が加算されます。 ※VISAインターナショナルのレート情報が見当たりませんでしたので、JCBのレートで計算しました。
JCBの基準レート | 19.16RMB |
1.5%を加算 | 19.4474RMB |
100万円=51,420RMB
クレジットカード(VISA)で買い物
中国でクレジットカードを使って買い物をする際に一番気を付けなければいけないのがスキミングです。 中国では、日本人観光客のスキミング被害がとても多いのです。クレジットカードは高級ホテルか一流デパート以外では使わないようにしましょう。
JCBの基準レート | 19.16RMB |
1.63%を加算 | 19.4723RMB |
100万円=51,355RMB
中国の銀行の窓口で日本円を人民元に両替
一般に中国で日本円を両替する際は、銀行>空港>ホテルの順にレートがいいと言われます
人民元=19.53円(円⇒人民元)※調査時期:2014/11/13
人民元=18.80円(人民元⇒円)※調査時期:2014/11/13
- CB
- 外貨の現金を買い取る場合の両替レートです。私たちが日本円を人民元に両替する際のレートになります。
- CS
- 外貨の現金を売る際のレートです。私たちが人民元を日本円にする際のレートになります。
100万円=51,204RMB※調査時期:2014/11/13
日本国内のチケットショップで日本円を人民元に両替する
チケットショップのレートが、銀行の外貨宅配のレートよりもいいのが意外でした。
大阪のチケットショップ両替レート 人民元=19.9円(円⇒人民元) 人民元=17.6円(人民元⇒円)
100万円=50,252RMB
国際キャッシュカードで海外のATMで引き出す
クレジットカードの利便性やレートをみると、国際キャッシュカードの利用は先細りとなりそうです。 かつては、みずほ銀行や三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、新生銀行、ソニー銀行、シティーバンク銀行が営業をしていました。 しかし、2014年11月13日現在では新規受付している銀行は新生銀行、ソニー銀行、シティーバンクなどですが、シティーバンクは個人口座業務を終了する予定ですので、ソニー銀行と新生銀行の二行だけとなります。
新生銀行の国際キャッシュカードの人民元への両替を見てみましょう。 新生銀行国際キャッシュカードのレートはVISAインターナショナルのレートを基準にして4%を加算したものとなる。 2014年11月13日の調査ではVISAインターナショナルのレートは、日本国内での銀行窓口で日本円を人民元に両替したレートと 同じになっている。しかし、さらに4%を加算するので100万円の両替は50176人民元となる。
JCBの基準レート | 19.16RMB |
4%を加算 | 19.93RMB |
新生銀行 国際キャッシュカード
- PLUSマーク表示のある海外ATM等で現地通貨の引き出しができる
- 一日の引き出し限度額は10万円
- 為替レートはVISAインターナショナルが定めたレートに4%を加算
- 出金手数料は無料
100万円=50,176円
三井住友銀行 外貨宅配
人民元=20.66円(円⇒人民元)
ホームページには8万円以上両替した場合は配送料が無料と記されていますが、両替レートを見ると宅配サービスの料金を含んだレートになっていると見た方がよさそうです。
100万円=48,403RMB
トラベラーズチェック
かつて多くの留学生に利用されていたトラベラーズチェックは、国際キャッシュカードやクレジットカードの普及に伴い2013年3月にアメリカンエキスプレスの販売終了をもって日本国内では無くなりました。